公認内部監査人(CIA)tunetterのブログです。 内部監査の試行錯誤を記録していきます。

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2009年12月15日火曜日

内部者取引(インサイダー取引)

月刊監査研究2009年10月号に「第二回全国上場会社内部者取引管理アンケート-調査報告書-(抜粋)」という各証券取引所によるアンケートの結果報告が紹介されていました。

内部者取引とはインサイダー取引のことで、金融商品取引法により規制されています。この報告(抜粋)では主に内部者取引に対する内部統制の整備状況のアンケート結果を30項目(質問)にわたり報告しています。

今回は、内部者取引を防止するための内部統制にはどのようなものがあるかを本アンケート結果からまとめてみます。

  1. 内部者取引管理規程の整備
  2. グループ会社の情報・売買管理
  3. 社内情報管理体制の整備
  4. 情報管理担当部署の判断能力向上
  5. 情報管理の施策(例)
    1. 情報に重要度区分を設定し管理する。
    2. 情報の伝達可能範囲を明示する。
    3. 情報伝達時に情報管理の責任者に報告する。
    4. 重要情報を文書で伝達し事後検証可能にする。
    5. 文書のライフサイクルのルールを設定する。
    6. 情報壁を作る。
    7. 伝達情報に重要事実が含まれることを相手に伝える。
    8. 役職員等に注意喚起する。
    9. 役職員等に守秘義務を課す。
    10. 重要情報をシステム的に一元管理する。
    11. 内部監査による事後検証を行う。
    12. 特定プロジェクトについて重要事実になる前から管理する。
  6. 代理人・派遣社員・アルバイト・外部委託先等の情報管理
  7. 取引先の情報管理
  8. 研修・啓発
    1. 役職員向け研修
    2. ポスターの掲示
    3. 冊子の配布
    4. eラーニング
  9. 情報へのアクセス制限

ざっと、以上の様な統制を一般的には検討しているものと思われます。全体的な印象としてはISMSの対応とよく似ていると感じました。

2009年12月14日月曜日

内部監査の成熟度に関するアンケート調査結果

月刊監査研究2009年9月号に「内部監査の成熟度に関するアンケート」調査結果報告というCIAフォーラムNo.4-Aの研究会報告が紹介されていました。

この調査は内部監査機能の発揮状況を38項目についてのアンケートで140社からの回答を得たものです。アンケート結果はいくつかの観点で整理され、最終的には内部監査の成熟度を表す項目の特定を試みています。

アンケート結果で私が気になった項目について雑感をコメントします。
  1. 項目別には独立性や指摘・勧告への対応状況、予算や監査の網羅性の確保等の全社的な内部監査体制の整備に係る項目は平均点が高い。
    • おそらくJ-SOXにより、内部監査の存在が経営者に認識されてきた。
    • でも、監査法人と監査役と内部監査の違いはまだまだ認識されていないだろう。
  2. 外部の第三者による内部監査の品質評価、継続的モニタリング/監査、監査支援ソフトの導入等比較的新しい課題の項目は平均点が低い。
    • 内部監査の導入だけで手一杯で先進的な監査手法の導入はこれから。
    • 米国は進んでいる(らしい)。
  3. 業種別には金融保険の平均点が高い。
    • 金融保険は、その業態上、内部監査の重要度が高い。
    • 監督省庁によるチェックも厳しい。
  4. 企業規模別では規模が大きいほど平均点は高い。
    • 組織が大きくなればなるほど内部監査の必要性が高くなる。
    • 経営者が直接見ることができない領域が増えるから。
  5. 公認内部監査人の数が多い企業ほど平均点は高い。
    • やはり、専門知識を持つ人が多いと品質も上がる。
    • 公認内部監査人に対する認知ももっと広がって欲しい。

内 部監査は法定監査ではないため、業態や企業規模により導入の状況がまちまちです。特に、日本では監査役との違いも認識されないケースが多くあります。米国 での状況から推し量るに、日本でも近い将来、スキルとしてまたキャリアとして内部監査が認識される時代がやってくると思います。

2009年12月11日金曜日

バランス・スコアカード超簡単解説

今日は内部監査の専門的な話題ではなく、CIA試験のPartIV「ビジネスマネジメントスキル」から戦略的マネジメントのツールであるバランス・スコアカードについてピックアップします。

戦略的マネジメントのツールの主流となっているのはバランス・スコアカード(Balanced Scorecard)です。バランス・スコアカードというと一見難しそうに思えますが、最終型は以下の様なものです。

----------------------------------------------
4つの視点__戦略目標(KGI)_重要成功要因(CSF)_重要評価指標(KPI)_目標数値_アクションプラン
----------------------------------------------
財務の視点
----------------------------------------------
顧客の視点
----------------------------------------------
業務プロセス
の視点
----------------------------------------------
学習と成長
の視点
----------------------------------------------

各項目の概要は以下のとおりです。
  1. 戦略目標(KGI=Key Goal Indicator):売上拡大、問合せ対応品質の向上等
  2. 重要成功要因(CSF=Critical Success Factor):顧客単価の底上げ、回答時間の短縮等
  3. 重要評価指標(KPI=Key Performance Indicator):売上高、回答までの所要時間
  4. 目標数値:KPIの目標数値:前年比10%アップ、24時間以内の回答
  5. アクションプラン:具体的な実行策:セット販売、問合せデータベースの導入
  6. 財務の視点:財務体質はよくなるか?
  7. 顧客の視点:顧客をつかむことができるか?
  8. 業務プロセスの視点:早く廉価にサービスを提供する体制か?
  9. 学習と成長の視点:人材の能力は向上するか?

バランス・スコアカードを作るには以下の手順を踏みます。
  1. ビジョン策定
  2. SWOT分析
    1. 3C分析
    2. クロスSWOT分析
  3. 戦略目標・戦略マップ策定
  4. KPI設定
  5. 目標値設定
  6. アクションプラン策定

個々の手順はもっと説明が必要ですが、今回は割愛します。詳しく知りたい方には以下のWebサイトが参考になります。
http://www.itl-net.com/bsc/index.html

バランス・スコアカードの手法は組織の規模の大小に関係なく適用できます。皆が同じ目標に向かって進むためのツールとして導入してみると良いかも知れません。

2009年12月10日木曜日

6本の文化的支柱

月刊監査研究2009年8月号に「内部監査部門が成功するための6本の文化的支柱」という海外論文が紹介されていました。

こ の論文はBruce Adamec,CIA,CPA、Linda M.Leinicke,PHD,CPA、Joyce A.Ostrosky,PHD,CPAによる「6 Cultural Pillars of Successful Audit Departments」という論文を中島陽紀氏(CIA)が翻訳したものです。
今回はこの記事のポイントを私なりに抽出してみました。

内部監査部門が堅持すべき基礎的価値は以下の4つである。
  1. 誠実性
  2. 客観性
  3. 秘密保持
  4. 専門能力

基礎的価値に加えて、以下が必要である。
  1. 技術的な専門性
  2. 明確な基本規定
  3. リスクベースの監査手法
  4. 監査の専門知識
  5. 交渉力や協働能力といったソフトスキル
  6. 適切な技術などの正しいインフラ

真に全社的な影響力を持つ内部監査部門には以下の6つの文化的支柱がある。
  1. 信頼(Trust、部門のメンバー間の信頼)
  2. 感情知能(Emotional Intelligence)
    1. 自己認識力(Self-awareness)
    2. 自己管理能力(Self-regulation)
    3. 自分を動機付ける能力(Motivation)
    4. 共感力(Empathy)
    5. 社会的スキル(Social Skills)
  3. 達成重点主義(Performance Focus)
    1. 顧客に対して
    2. 株主、取締役会及び監査委員会に対して
    3. 監査対象に対して
    4. 内部監査部門のメンバーに対して
  4. 勇気(Courage、あらゆる場合に正直で倫理的であり、真実を追究する)
  5. サポート(Support、内部および外部の支援体制を構築する)
  6. 学習の共有(Shared Learning、グループの成功と失敗を共有する)

この論文の趣旨は、利害関係者全体に配慮し、個々の能力を高めるだけではなく、内部監査部門メンバーが協力し合いながら目標を達成することが大切であるということだと思います。

システム監査普及連絡協議会「平成21年度講演会」

システム監査普及連絡協議会「平成21年度講演会」に行ってきました。
システム監査普及連絡協議会は財団法人金融情報システムセンター(FISC)が事務局となっています。FISCは「金融機関等のシステム監査指針」を発行している団体です。
今回の講演会の概要は以下のとおりです。

  1. 日 時:平成21年12月9日(水) 14時00分~17時00分
  2. 場 所:中央大学駿河台記念館 2階大会議室
  3. 講演内容:
  • 「情報システムの改善に資するシステム監査」/NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティング本部アソシエイトパートナー 早乙女真氏
  • 「経営者から求められている情報システム監査」/関西アーバン銀行 監査本部 アドバイザー 良永順氏

曇り空の肌寒い中、開始30分程前に御茶ノ水の会場へ到着。講演が始まるころには会場はほぼ満席でシステム監査に対する関心の高さを感じました。内部監査協会のシステム監査部会の座長も来ていました。

冒頭にFISCの米澤理事長より挨拶がありました。FISCはISACAと3ヶ月毎に情報交換をしているそうです。

続いて、早乙女氏の講演です。氏は自身の長いSEの経験から、特にシステム開発は自由度が大きく、フレームワークを設けないと管理できないと いう考えで、開発のプロジェクトマネージャーの視点に監査の視点が加わることで経営者にとってより良い情報システムとなるという内容でした。(当初、切り 口が何の監査についてなのか理解できず、少々戸惑いました。講演後同様の質問をしている人がいてホッとしました。(笑))

15分間の休憩 を挟み、良永氏の講演です。氏は金融機関での監査経験が豊富で、監査人の目線からシステム監査を解説していました。金融検査マニュアルとシステム監査の関 係や、ご自身がいままで実施した監査とFISCの対応について解説されていました。また、現在実際に利用しているリスクアセスメントや監査計画を例にかな り具体的な説明をされていました。システム監査はシステムだけを切り出すのではなく、流れの中でシステムを捉えるべきだという言葉が印象的でした。

本日の講演を聴いて、システム監査にはフレームワークが重要であること、金融機関のようにサービスのかなりの部分がシステムに依存する業種にとってシステム監査は業務監査と限りなく近く、システムだけを分けて考えるべきではないと改めて感じました。

2009年12月8日火曜日

専門職的実施のフレームワーク

月刊監査研究2009年8月号にCIAフォーラム研究会No.24による「IIA国際基準と「金融検査マニュアル」の比較研究」という報告が紹介されていました。

これはIIA(=The Institute of Internal Auditors、内部監査人協会)が定める「専門職的実施のフレームワークと」金融庁の「金融検査マニュアル」の対応関係を解説しているものです。

今回は、専門職的実施のフレームワークについて書いてみます。

専 門職的実施のフレームワークとはThe Professional Practices Frameworkの和訳です。かなり直訳な和訳ですが、意訳も難しいかもしれません。このフレームワークは2009年1月に改訂され、正式な翻訳はまだ 完成していません。以下の目次は旧版の目次です。最新版はhttp://www.theiia.org/guidance/standards-and- guidance/にて確認できます。余談ですが、このフレームワークに関する問題はCIAの試験に必ず出されます。

内部監査の専門職的実施の国際基準(基準)
人的基準
1000-目的、権限および責任
1100-独立性と客観性
1110 ~ 1130
1200-熟達した専門職的能力および専門職としての正当な注意
1210 ~ 1230
1300-品質の保証改善プログラム
1310 ~ 1340
実施基準(Performance Standards)
2000-内部監査部門の管理
2010 ~ 2060
2100-業務の内容
2110 ~ 2130
2200-業務の計画
2201(2210が正しい?) ~ 2240
2300-業務の実施
2310 ~ 2340
2400-結果の伝達
2410 ~ 2440
2500-継続的な監視
2600-経営者のリスク許容についての問題解決
用語一覧

実践要綱(Practice Advisories)
人的基準
PA1000-1 ~ PA1330-1
実施基準(Performance Standards)
PA2000-1 ~ PA2600-1

専門職的実施のフレームワークは「基準」と「実践要綱」に分かれており、互いに項目が関連しています。(例:基準の1310=品質プログラムの評価の実践要綱はPA1310)
専門職的実施のフレームワークをよく理解することは内部監査の国際標準を理解することにつながります。

2009年12月7日月曜日

内部監査のドキュメント

月刊監査研究2009年7月号にCIAフォーラム関西研究会No.7による「SMARTに書こう」という海外論文の翻訳が掲載されていました。

「SMARTに書こう」はBarbara L. Adams氏とAnn S. Winstead氏の「Write SMART」という内部監査報告書の書き方についての論文の和訳です。内部監査報告書は以下の点を踏まえて書くべきだと説明されています。

  1. Specific(具体的)
  2. Meaningful(有意義)
  3. Attainable(達成可能)、
  4. Result oriented(結果指向)
  5. Timely(タイムリー)

今回は監査報告書に至るまでの内部監査のドキュメントについて書いてみます。

内部監査部門が作成する計画から報告書までの一連の文書には以下のようなものがあります。
  1. 中長期計画書
    • 中長期の事業計画を踏まえた監査計画です。
    • 監査人の人員計画や能力開発計画等も記載します。
  2. 年次計画書
    • 中長期の監査計画を踏まえた年度の監査計画です。
    • 監査対象部門や領域等も記載します。
  3. 個別監査計画書
    • 監査対象毎の監査計画です。
    • 監査範囲や責任者、前回の監査結果等も記載します。
  4. 監査手続書
    • 監査ごとの具体的な監査手続を記載したものです。
    • 作業担当者、実施日付等も記載します。
  5. 監査調書
    • 個別の監査手続や証憑類の記録です。
    • 監査担当者の意見等も記載します。
  6. 監査報告書
    • 監査の概要と監査結果です。
    • 指摘事項や改善勧告等も記載します。

これらの書類は企業の規模や内部監査の体制により、必ずしも全てを別々に作ることができるとは限りませんが、それぞれの項目が整合していることが重要です。